恐怖姉妹

「そう。奏汰を使って何をするのかと言うとね……」
柚柚が梨里の耳に顔を寄せる。

ふたりの声はとても小さくて聞き取れない。
だけど柚柚の話に耳を傾けていた梨里の表情が、だんだんと明るいものに変わっていったのだった。

☆☆☆

「ねぇ、ちょっと話があるんだけどいい？」
翌日の教室で、奏汰が登校してきたのを見計らって梨里が声をかけた。

できるだけ優しく、そして申し訳なさそうな表情で近づくと、奏汰は少しだけ警戒心を説いてくれた。

今壮絶なイジメの最中にいる奏汰はクラスメートの誰のことも信じなくなっているから、声をかけるときが一番重要だと柚柚は言っていた。

「僕になにか用事？」