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慧との勉強会を開くたび、奏矢と矢絃は手を繋ぐことをやめなくて、おかげ私の勉強はあまり進んでいない。
「……なんで繋ぐの。見られたらどう言い訳していいかわからないじゃない」
テスト間近の夜、最後の勉強会を執事をまじえ自身の部屋に別れてやっていた。私も二人を呼んで追い込み中。だけど、三人でいれば素なわけで。
「なんでって、お嬢に触りたいから?それ以外理由ないだろ」
「オレも触りたいし、それに大丈夫。見つからないから、オレも奏矢も」
触りたいとか……不純な理由すぎる。
あなた達執事でしょう?
「執事が主にそんな触るもんじゃないの」
「いいだろ別に。言ってやれ矢絃」
「おっけー。オレらは……寮という禁断の箱の中で一緒に川の字したし、間接キスしたとびきりの仲でしょう?ね、主さま?」
ゔっ……それを言われると言葉が見つからない。しかもこんな時だけ、主呼び!
「おっ、禁断って響きいいな」
「オレも自分で言っておきながら思った」
いやいやいや、いけないでしょ。いいな、じゃないのよ。
……だめだ。寮に来てから不機嫌にならないようにとか思ってたけど、甘やかしすぎた結果ね……。



