すぐさまノートの上に伏せる慧。
秋葉さんは、申し訳ないと私に何度も頭を下げ、春夏冬さんは慧に上着をかけていた。


「……お嬢様も、少し手を休めては?」


や、矢絃……あなたまた繋ぐつもりね?


「はぁ……分かった。私は三分だけ」
「……やった」


椅子によりかかり、手を下ろした私。矢絃はその手をすぐにつかまえる。

二人共、左利きと右利きでこのまま勉強出来るけど、私は何も出来なくなった。
でも三分だけなら矢絃の言う通り、休める意味で……これ休めてるのかな。


握り返さないと、握れって強く握られるし。


"意識、しろよ?"とか言われたのが頭に過ぎり、そんなことはない、意識してないと言い聞かせるも、何故か心拍数が速くなっていく。

しかも静かだから余計聞こえてきて……それに待って。

て、手汗っ……!

さっきまで平気だったのになんかあっつい!


「そ、そろそろ三分経つかなぁ」


さりげなく繋がれた両手を二人から離そうともがくも、少しもゆるまない。

ちょっと……!