やたら子どものように左手が動く中、集中集中と自分に言い聞かせ勉強を進めるも、

今度は右サイドからペチっと合図。
その合図と同時に左手から温もりが離れていく。

……この二人、どうやってタイミングはかってるのか全然分からない。

時計を見てはかっても、三分や五分で交代しているわけでもなさそうで。

ひとり首を傾げ、ペンを置いて奏矢と手を繋げば、ずっと普通に繋いでいたのに……

これは……恋人繋ぎってやつ?

きゅ、急に変えてきた。


なんで!?、と視線でうったえれば、奏矢は教科書で顔を隠し


"意識、しろよ?"と矢絃と同じように口パクで伝えてきた。


──この前のケーキのときと言い今と言い……私の執事はっ!


「ああ!全然わからない!」
「うわぁ!?」

また突然大声を出す慧に、驚く春夏冬さん。私も反射で奏矢の手を離すも奏矢は離さずまた繋ぎ直した。恋人繋ぎに。


「お静かに。夏休みの追試に行きたいのですか?」
「だからそれはやだって……でも勉強もしたくない。五分!五分だけリラックスさせてくれ。ここで寝る」
「……なら、きっちり五分ですよ」