「ま、俺は最初の頃のスープの毒味ですでにしてるけどな」
「あ、そうじゃん。ずるい。でも……オジョーあの時はこんな顔しなかったよね?」
「あん時はボロボロだったからな。でも俺らが執事になってみちがえて……多少なりとも、意識はしてるってことだろ?」
「ああ、なるほど。そっか。親愛度レベルアップしてるもんね。今は意識しちゃう、ってとこねおっけ。オジョー、もっとレベルアップしようね」
げ、限界だ。
両サイドからのぞかれ、この整った顔の近さにたえられそうにないっ。
「い……意識とかしてないっ!全然そういうんじゃないから。びっくりしただけっていうか……だから……」
「はいはい、言い訳しても早口過ぎて照れてんのバレバレな?」
「やっば、過去いち赤くない?写真におさめないと」
連写する音が私に向けられたスマホから聞こえてくる。
「……これきたわ。見て奏矢」
「送れ」
「しょうちー」
な、なんなのこの二人!
「寝る!もう寝る!ケーキ冷やしといて!川の字準備!」
ケーキの皿をよけて布団にもぐれば、笑い声が聞こえ『はいはい、お嬢様の仰せのままに』なんて言われ……すぐに部屋が暗くなった。



