「なら、テスト前の今のうちに楽しんどこーぜ。矢絃」
「オジョーはい、あーん」
──この後、ことごとく餌付けするようにお菓子を食べさせられ、
寝る頃に……
「じゃあおやすみ、ベッド使っていいから」
ソファの方へ移動しようとした私を、左右から腕を掴まれ、後ろに戻された。
勢いよく背中から寝る形になり、
「ちょ、何……」
置きようとすれば私を挟む、かなやいに阻止される。
「別にオジョーもここで寝ればいいじゃん。その方があったかいし」
「いや、流石にそれはっ」
「川の字で寝る練習と思えよ。お嬢様?」
断固として私を離さんとする矢絃に、
さりげなく足技をかましてきてニッ、と口角をあげる奏矢。
そして二人は同時に言った。
"どーせ逃げられないんだから"──と。



