「……で?オレたちが放っておかれてる間の練習はどうなの?あっちの執事、心配してたけど」

「ああ……練習……練習ね」

「なんだよっ、その感じじゃ上達してねーな」


私の顔を見るなり、笑いながらグミを口に放った奏矢。
練習の上達具合が想像通りだったんだろうけど……


「でもさ、もう休み明けだよね?テスト。オジョーはいいとして、あっちのオジョーサマは再テストの可能性もあるんじゃない?」

「そうね……再テスト」


午後の授業のテストで、評価をつけられないほどのレベルだと、問答無用で再テストを言い渡される。

これはかなり珍しいこと……であるはずなのに、慧は常連で。
だから仲のいい私は、その珍しさが身近にあるのだ。

一年生の頃──


『四天王の再テストなんて歴代で初だった』と聞いたことがある。


嘘か真かは知らないが、学園において再テストは一時、冷たい視線を浴びることになるのは間違いない。

その視線を一番気にしなくてはならない慧は、一番気にしてないみたいだし。


一年生の終わりなんて、留年の言葉が出たくらいギリギリだったから。
秋葉さんたちのためにも、テストのスタートダッシュを再テストできらせるわけにはいかない……