今日だけ今日だけ、と家でも幾度となく言ってきたシーンが頭を過りながらも、私もベッドにダイブした。
「お嬢これ新商品のやつ、食べるだろ?」
「いつものやつも食べたいよね」
腹這いになる私にお菓子を差し出す二人。
とりあえず受け取るも、口に運ぶ手が止まる。
「……家にいた時も今も思うけどさ、二人ともなんで太らないの?」
「は?」
「え、なに」
「なにって、そのままの意味よ」
体を起こして、食べる手を止めない奏矢と矢絃を交互に見ていく。
二人とも、意味分かんないって顔してくるけど、毎度夜にお菓子パーティー状態なのに……会ったときからさほど体型が変わっていない。
こうして夜になかなかのカロリー摂取をしているというのに。
「……解せぬわ」
「ま、俺と矢絃は鍛えてるからな。こんなん食ったくらいじゃそう変わりはしねぇよ」
「そもそもオレたちとオジョーとの代謝が違うし。……でも大丈夫だよ、太ってもオレたちが……ふふ。ね、奏矢」
「ああ」
──怖っ。
何。兄弟しかわからない何かのやりとりがされたのは分かったけど……
時折される意味深な発言には、意味を聞かないのが吉だと思っているから、何も言わないでおく。



