ただの学生として過ごせるのは、お嬢様側も同じ。
普通の女子高生として勉強も女子トークも楽しむ唯一のチャンスでもある。
「おはよう、今日も朝からすごい人気ぶりだったな?」
席につけば、校内一のイケメンお嬢様──
日比野慧が私のもとへやって来た。
ショートヘアで身長があるから、執事たちといると三人とも執事のように見える時があって、今でもつい二度見してしまう。
おまけに、見た目を裏切らない男前さを兼ね備えているから、バレンタインは周りの執事と競えるレベルだ。……ちなみにホワイトデーも慧はもらう側。
私の中では仲が良い、と言える友達でもある。
一年生の時は隣のクラスだったけど、それなりに話すことは多かったから。



