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特訓に付き合う日々を送り、慧の音が少しずつ良くなって来ているのに対し、
日に日に増していく私の執事くんたちの
……不機嫌度。
学校や私の部屋以外の寮の場所では、完璧な執事でいる"かなやい"。
しかし、三人だけとなった途端に、別人か?と疑いたくなるように顔を歪め私のことを見る。
だから、今日は休もうと慧にうまく伝えて夜に二人を自室へ呼んだ。
ドアの前で出迎えようとスタンバイし、廊下から気配を感じた瞬間に、
いらっしゃい、と笑顔で迎えたのに……
「ぜんっぜん、お嬢との時間ないんすけど?あり得ねぇ」
「それくらいじゃ、オレの機嫌は直らないから」
……奏矢も矢絃もこの調子。
主の横を文句を言って通りすぎていく、と。
その割にちゃんとお菓子とか持ってきてるし。
「仕方ないでしょ?毎度のこと慧の単位はギリギリのラインなんだから。私も友人として協力はしたいの」
「んで、オレたちはこんなさびしーのに、放ったらかし」
「もう今日はここで寝る」
「だからごめ──」
ん?
ここで寝る?



