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放課後のティータイムの件以来──


奏矢と矢絃曰く、


『アイツ生粋のドジっ子だろ』

『目離すの怖くなる気持ちわかる』


だから秋葉さんの大変さが伝わる、と。


執事サイドで何があったのか、いちいち聞いたりはしないけど、何かと春夏冬さんがハラハラさせているのは分かった。


慧は慧で……寮の朝毎日のように、うちのかなやいへ質問をするようになったし。


「……昨日、執事くんたちが寝るまで春夏冬は大丈夫だったかな?やらかしてないかい?」


「あぁ……転びそうになったくらいでしょうか」
「そうでしたね……それで今度は矢絃さんに受け止めていただきました」


奏矢が控えめに笑みを浮かべ答えれば、あぁ……と秋葉さんは頷く。
私の横にいる矢絃は
"そんなことあったな、そういえば"と呟いていた。


「やっぱりかぁ……ほんとありがとな。カップの件といい昨日といい……最早卒業まで面倒かけると思うから」
「……それはまぁ、置いといて。春夏冬さんはどこにいるの?」


ここは寮の食堂だが、かなやいと秋葉さんしか居なく、話題になってる本人が居ないのだ。


「寝坊か?」
「いえ、部屋を出た時に忘れ物をしたとかで……」

尋ねる慧に秋葉さんは頬をかく。
忘れ物程度なら、少しの差でやって来るはずなのに。


「なあ……秋葉」
「はい……」
「また、何か起きてるんじゃないか?」
「同感です」


間髪容れず同意する秋葉さんに、慧は深くため息をついた。