「……で、美青は花粉症大丈夫なのか?」
「私は平気」
「花粉を寄せ付けないなんて羨ましい限りだな。……お、我が執事たちが来たぞ」
ちょっとは増しな座り方に直る慧。
執事たちはお菓子と紅茶を運び、足を止める。
「お待たせ致しました」
四人の声が揃い会釈をする中で、僅かな遅れをとった春夏冬さんも頭を下げた。
──なるほど。この小さな、あたふた感がおっちょこちょいに繋がるのか……
「うーん、いい匂いだ。スコーンと見た!」
「当たりでございます。慧お嬢様」
「だろ。わたしの鼻は鋭い」
誇らしげな慧に、しっかり者の秋葉さんは笑みを見せ、スコーンをテーブルに置いた。
私の方には矢絃が置いてくれて、甘く香ばしい香りが広がる。



