『……よくもまぁ、そんなこと初日からやるもんね。見つかったらどうするの?夜、お嬢様側の部屋に執事がうろついている、なんてシャレにならないでしょう?』
『そん時はそん時。理由なんてつくりゃいいんだよ。……まぁでも?こんなガキに欺かれる大人もどうかと思うけどな』
『……見つかった理由の候補もゲームで学んだし。見つかるか見つからないか、スリルもあって良き』
……なんか、奏矢も矢絃も楽しんでないか?
すごくご法度なんだけどな、本当は。
でも……
"主からの呼び出しは常に対応できるようにすること"
と、佐藤からも言われ、学園側から持たされている執事帳とやらに書いてあるらしいから、普通に私から呼び出しがあると言えば警備員の前を通るのは容易い。
なのに、わざわざ無断通過しつつ、そのスリルをゲームの如く楽しんでいるのは……
ある意味でさすが、としか言いようがない。



