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諸々の手続きが落ち着いてきた頃──
ずっと別部屋を用意され過ごしてきた九重兄弟を、佐藤は自室に呼んだ。

私にも話を聞いて欲しいと、佐藤が来るのを待っているところ。


『……で?数週間何もしなくていいって言われて、好き勝手してた俺らには何が待ってんだよ。罰ゲームとかか?』

『ワクワクと不安ハーフアンドハーフって感じ……』

『今、佐藤が来るからちょっと待って』


好き勝手、とは何をしたのか気になるけど、特別問題を起こしたとは耳にしていないだけいいのか、と思い聞くのはよした。


『失礼致します。お嬢様も足を運んでいただき申し訳ございません』

『気にしないで。手続きお疲れさま』

『ありがとうございます』


私の小さな頃から佐藤がそばにいたけど、いつまでも腰の低い人だ本当に。
だからこそ皆からの信頼度が誰よりも高い。


『それで、主にこの二人には何が待ってるの?』


佐藤の隣に並んで二人をにやにやと見つめれば、身構え出した。

咳払いをひとつした佐藤は、一歩前へ出る。


『……本日からお二方には、この家の執事として働くべく、そのスキルを身に付けていただきます』


──……そう来たか。