『だから……うちに住み込みで働くことにするか……』
『は?』
『え……?』
『やっぱり送り届けてもらうか、決めてほしいの』
報告書を下げ、私は二人をまっすぐと見つめれば、驚愕の表情を浮かべた二人。
『ま、待てよ……住み込みって……』
『オレらが、ここに……住んでいいってこと……?』
幻でも見てるかのような様子。
『そうだけど。働く、って言葉を忘れないで』
『それは……聞いてたけどよ』
信じられない、と言いたげに二人は顔を見合せ、また大きく目を見開いて私を見据えた。
"本当に?"──という意を込めた視線で。
『……九重奏矢くん、あなたは私と同い年。弟の矢絃くん、あなたも一つしか違わない。……まだ、生きないと。ここでなら、そう思えるように……なるわ。きっと。ここを居場所だと』



