私と佐藤がこの家に連れてきて、丸々一日が経った。
丸一日二人の姿がなかったはずなのに、誰も気にかけていないってどういうことか、と。
聞けば二人とも携帯を持っていないと言うし、連絡をとる術がないから余計心配になるものじゃないのだろうか……
警察にも届け出は出していないらしいし、祖父のことでいっぱいってことだろうか。
『にしたって……』
佐藤が"このまま帰してよいものか"──そう言った意味がよく分かった。
……いつでも彼らをこの家から帰すことは出来る。
でもその後は?
どこかの家庭に引き取られたとしても……安息の日々が送れるとは到底思えない。
下手したらまた橋……他の場所で……なんてことを考えてしまうかもしれないから。
最後のページまで目を通し、報告書を閉じ私は立ち上がった。
まずは佐藤と話をしよう。
それと、あの二人とも──



