「それに、年明けてから二人きりで構ってやれてねぇし。構ってもらえてもねぇから来た。あれからお嬢となんもできてねぇしよ。……つか、お嬢……矢絃の感覚覚えてたりしねぇよな?」
「え?は!?急に何言って……」
食べかけのおにぎりを置いて、じりじりと詰め寄ってくる奏矢に、少しずつ後退るもぼふっと背中からベッドへ倒れてしまった。
慌てて起き上がるが、上に乗られてしまい身動きが取れなくなった。
「な、なんかこの体勢はよくないと思うの!」
「うっせ。そもそも、キスされる隙を作るのがわりぃ」
「なっ……!うじうじしてた俺が悪かったって奏矢言ってたのに!」
「それとこれとは別だっつの。ほら……騒いでねぇでじっとしろ」
逃げ場がない。動けない。近付いてくる奏矢。
頭の中でサイレンみたいなものが鳴る。
やばいやばいっこの体勢と展開にはまだ対応出来る私ではない。
「っあー……お、おにぎり食べないと!!おにぎり!!ね!?夜中のために!」
声は裏返るわ、動揺してるわで、焦りが見え見え。だけど、間違ってはいないわ。食べるために持ってきたんだから。
「ああ、そうだな。……ってなるかよ、その手にはのらねぇ。飯より彼女、だろ?どう考えても。そのままじっとしてればいいだけだ。暴れんな」
「んなこと言われても──」
「あぁ、ならこうしようぜ?チェス勝負でのご褒美、俺はまだ保留だったよな。今言うわ」



