「ばーか。お嬢しかいらねぇよ」
ニッと笑い、胸を撫でる奏矢は緊張から開放されたのか、布団を足で払い後ろへ倒れ込む。
すると、握られたままの手がその勢いで引っ張られ、私は奏矢に覆いかぶさるような形となった。
ギリギリ、奏矢に乗るのを回避するためもう片方の腕で耐えた。ものの、
「っ……」
あまりの近さに、一瞬息が出来なくなった。
心臓の一拍が、すごい大きく弾むように鳴るのを感じて余計に鼓動が加速していく。
「……たえんなよ。乗ればいいのに」
私の余裕の無さとは真逆に、奏矢は私の髪を撫でながら微笑む。
お、男子って……彼氏ってそういうものなの?
あまりにも余裕すぎるというか……。
不思議なくらいいつも通り。
「今、俺が余裕そうとか思ってんだろ」
「え」
「分かる。……けど、そう見せてるだけでばりばりお嬢にドキドキしてっから、俺」
「そ、そう……というか、起きてもいいかしら。さすがに近すぎて……」
ちょっと抵抗のため起き上がろうとするも、何故か動けず。
「ダメに決まってんだろ?離したくねぇもん。お嬢は離れたいわけ?」
くっ……
上目遣いされると、急所を突かれてる気分になる。
「そうでは……ないけど。もう少しだけ、だからね」



