「別に、同意したわけじゃないのっ」
「……は?」
「それだけ!言いたかった……それじゃまたね!」
奏矢を見ながらはさすがに伝えられなかった。
けど、言えた。
だからすぐに逃げるように背中を向けて走り出そうとすれば、
グッと腕を引かれ、走れなくなる。
恐る恐る肩越しに奏矢のほうへと振り返ると、何故か引き止めた奏矢自身が私より驚いた顔をしていた。
「奏矢……?」
「あっ……わりぃ」
「い、や大丈夫」
わりぃと言われるも、腕は離されず。
どうしていいか分からないまま、私の腕を掴む手を見つめていると、
「……寝ないなら、ちょっと付き合え。これ、出しに行ってから話したい」
これ、と奏矢がひらひらとさせたのはスウェット。
私……スウェットを持ってたこと、全然気付いてなかった。それだけ視野が狭くなってるってことね……。
「わ、分かった」
前を歩く奏矢に掴まれたまま歩く最中、奏矢から拒絶的な言葉ではなく、
"話したい"と言われたことが嬉しくて、後ろを歩きながら顔が緩んだ。



