なのに──
返信がなく、扉が閉められたことが気になって仕方ない。
寝るに眠れず、最近の不眠にはもう慣れてきたけど、モヤモヤする。
矢絃から悩みのタネは聞けていないのもあるし。
「いいわ。もう佐藤に聞く!」
まだこの時間なら起きているだろうと、足早に向かった佐藤の部屋の戸をノックすればすぐに開けられ、
「お嬢様?どうなさいました?」
冷えるから中に、と促す佐藤に首を振って、私はその場でたずねることに。
「奏矢の悩み、佐藤は知ってるよね。ランドリールームでのこと。矢絃も勘づいてるみたいだけど教えてもらえなかった。だから佐藤に聞きに来たの」
命令だ、と答えさせることは出来る。
佐藤にも、奏矢や矢絃にも。
でも、そんなことしたくないじゃない。
強制的な命令なんて。
「……確かに、ランドリールームで相談をされたのは間違いありません。しかし、私が言えるのは、一つだけです」
険しい顔つきで、その一つを待っていれば、佐藤はゆっくりと言葉にした。
「"超えられない壁"があると」
超えられない、壁……?
「それって──」
それ以上は言わない。
そう言うように佐藤は目を伏せ、頭を下げる。
「……分かったわ。教えてくれてありがとう。おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」



