だけど、この日──
どんな言葉をかけても一度も返事はなく、ただ隅に座っているだけだった。
そのままじゃ私が寝れないと、佐藤は何度も部屋に足を運んでは、
"彼らを移動させましょう"と言ってくれたけど、私は首を横に振った。
ただでさえ、保護という形でもよくわからないところに連れてこられたんだ。
居場所をコロコロと変えられるのは、余計落ち着かなくなるだろう。
佐藤の心配には礼を告げて、毛布だけ持ってきてもらい体を寄せ合う二人にかける。
『寒かったらここのも使って』
余分に頼んだ毛布を彼らのすぐ近くに置き、私はカーディガンを肩にかけ椅子へ腰かけた。
あのまま二人が寝れるのならそれはそれでいいし、眠れないのならそっとしておくまで。
どっちにしても、私は起きていようと決めている。
堂々とベッドで寝るわけにいかないもの。
たとえ、彼らが寝たとしても。
──それから、あまり視線を感じさせてはいけないと思い、適当な分厚い本を読みながら、ただ時間が流れていくのを待った。



