「帰るなら、病院経由で三人で帰るわ。それとも薬飲むか選んで。もう嫌だは通用しないわよ」
高熱の人に向かって、少し強気な言い方になってしまったけど、このくらいじゃないと……聞いてもらえない。
けれど、奏矢は背を向けたまま何も言ってくれなくて。
「ねぇ……奏矢、答えて」
執事の具合も見透かせず、相談相手にもなれず、寝込むそばでただ話しかけて待つことしか出来ない自分の不甲斐なさに苛立つどころか、情けなすぎて涙が零れそうになる。
「……いい加減にしろよ、奏矢」
目が潤む中、矢絃が立ち上がり奏矢の布団を剥ぎ取った。
驚いて起き上がる奏矢の胸ぐらを、矢絃は掴む。
「ここ最近ずっとしけた顔して、なにに悩んでんのかオレが分かんないとでも思ってんの?」
"なにに"
ただ悩んでいることを察していただけではなく、矢絃は奏矢の悩みの理由までも分かってたんだ……。
「オジョーだって、冬服取りに行ったあん時から奏矢のなんか違うとこに違和感感じまくってんの。執事のくせに自分のことでいっぱいになって、オジョーのこと見てやれてないのは誰だよ」



