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"苦い、不味い、無理、嫌だ"
冬休み初日の朝、軽食を済ませた奏矢に一つも減っていない薬と水を差し出せば、言われた言葉。
寮のお嬢様たちが実家へと帰省し、
慧は私たちのことで何日か伸ばすと言ってくれたけど、大丈夫だからと言って慧たちも実家へと戻った。
だから、私たちだけが寮にいる。のだけど……
「……奏矢」
「つか、来んなって言ったろ……なんかあんならスマホに寄越せば済む」
ベッドに横たわる奏矢は、着替えはしてるものの一切薬を口にしてくれていない。
体温計を差し出せば、無言で受け取って測ってくれるのに。
「で、何度なの奏矢」
私の隣にいる矢絃が、体温計の音に反応し奏矢に近寄るも、奏矢は体温計を見るなりひとり顔を歪めた。
体温計へ手を伸ばす矢絃に、奏矢は渡さず電源を切ろうとする。
「……っ、おい」
なんとなくやりそうだと思って見ていたから、体温計を横取りし、数値をチェック。
横からのぞく矢絃と、私は顔を見合わせた。
「奏矢」
名前を呼べば、分かりやすく嫌な顔をする。
「私、昨日言ったわよね?下がらなかったら病院に行くって。……薬も飲まない水も飲まないんじゃ、下がるもんも下がんないわ」
確かに二、三日放置して大人しくしてれば治る類のものかもしれない。だけど、明らかに顔色がおかしいし、熱も下がっていない。



