「……はぁ」
広がる木々を見つめながら息を吐けば、同時にすぐ近くで『はぁ』と同じような溜め息が聞こえた。
近いけど、ちょっと下の方から。
「え?」
誰かいる?
昼休みに、こんな校舎裏まで来るなんて──
恐る恐る曲がり角から顔を覗かせようとすれば、相手も同じだったらしく……私の視界の下から出てきた顔とご対面した。
「……っきゃ!?」
「ちょ、オイッ……!」
目が合うなり驚いて後ろへ下がれば、勢いが余ってバランスを崩した。
後ろへ倒れ込む中、視界に入る手に持ったままのココアは守ろうと空へ掲げ、痛みと振動を待った……
けれど、その心配は無用だったらしく。
「あっぶねーな……ビビらせんな」
ご対面した──奏矢がもう片方の腕を引いて痛みの回避をしてくれたから。
「ごめん……あ、ありがと」
離された手で、一瞬で乱れた髪やらスカートやらを整える。ココアも勿論無事だ。
「えっと、昼休みなのにこんなとこで何してるの?矢絃はいないみたいだけど?」
「それはこっちの台詞だっての。あっちのお嬢さんと一緒じゃねぇのかよ」
向かい合う奏矢は、私の後ろを見ても慧がいないことに首を傾げる。お互いに今は一人だ。
「私は……なんか眠くて?先生に注意されちゃったから眠気覚まし?かな」
誤魔化しのききそうな理由、我ながら自然体。
「眠気覚まし?それでここまで来んのかよ」
「奏矢こそ、何してるの?」



