**



本日は金曜日、というわけで。


矢絃と約束した『二人で寝たい』を叶える日。


寮に帰るまでの道のりも着いてからも、矢絃はずっと上機嫌で鼻歌を紡ぎ、逆に今日は一人で過ごすこととなる奏矢は不機嫌。……なに、この違い。


たまには一人で居るのも悪くはないはずなのに奏矢……実は寂しい、とか?

いや、奏矢に限ってそんなことはないかな。


「オジョーご飯食べて、お風呂入ったらオレすぐ行くから。ベッドメイキングよろしく」


奏矢の不機嫌さを感じていないわけないのに、矢絃は寝ることのみしか頭にないらしい。
はいはい、と返事をして執事部屋の方へ『準備ー』と歩いていく矢絃と、無言のままの奏矢の背を見送った。


「……というか、ベッドメイキングって」


ちゃんとするほど?すぐ腹這いになってぐちゃぐちゃにするでしょうに。




──そう思いながらも一応ベッド周りは綺麗にしておいた。

いつも通り慧と執事たちと一緒に食事をとって、少し早めのお風呂から戻りベッドに座って矢絃を待つ。
すると、ノックもなしに開けられた扉と同時にスマホが震えた。


「やっほ」


入ってきた矢絃に手を上げて答え、スマホを見れば……






"何もされんな、絶対に"






奏矢からのメッセージがあった。