うそでしょ?


「……恋バナをするほどネタ、あるの?」


私はないのだけど。破談ネタしかね。絶対盛り上がらないじゃない。


「べ、別に今の状況じゃなくてもいいだろ?初恋とか……それくらいなら。それに!わたしと美青の仲でちゃんと腹をわって話したことないのがおかしい!」

「腹をわってって……んな恋愛話くらいで何を……私は聞き専に回るけどそれでもいいなら……」


今度はなぜか泣きそうな顔をする慧に、私は息を吐いた。……やる、と言わないと本当に駄々っ子になりかねない。


「分かった。分かったから。今度ね」

「本当か!?」

「ええ、女子会としてね」

「うう!やったぁ!美青本当に愛してる!!」


勢いよく抱きついてきた慧を受け止めれば、その勢いで椅子がぐらついた。


『あ』


耐えようにも、二人分の体重には抗えず──テーブルに手をかけるも無意味だった。

私と慧の声が重なり、重力に逆らわず椅子ごと私たちは倒れていく。



「慧おじょーさまぁー!!」


倒れていく最中、後ろからバタバタと複数の足音がして……