「あ、後もう一つ言うことがあったんだ」
「それは今言ってくれるもの?」
「ああ!わたしも、美青の件があったからな。ちゃんと片付けておいたほうが心が晴れると思って、見合い話を一切受けないことにした!」
座りながらも腰に手を当てる慧。浮かべる笑顔はとても眩しい。
言葉のまま、心が晴れたようなそんな笑顔。
「……私みたいに荒れたやり方ではなくて、穏便にかたがついたの?」
「まぁ、なんとか……とは言っても何を言われようが"やだ"の一言で突き通した。自分でも幼いとは思ったが、嫌なものは嫌だしな」
嫌なものは嫌──本当にその通り。
勝手に写真だの会えだの見せられて話をされてもこっちが困るもの。本当、慧とは馬が合う。
「突き通したことで、秋葉さんたちのリアクションは?」
「そらもう……秋葉は"お嬢様ナイスでございます"。春夏冬は"お嬢様すごいですやりましたね!!"」
秋葉さんの綺麗な会釈、春夏冬さんの高速の拍手を真似て、慧は執事二人のリアクションを教えてくれた。
私同様、執事も縁談を良くは思っていなかったのだからこれで安心ってもんよね。



