奏矢と矢絃をつれ再び廊下に出ると、私は慧と、執事たちは執事で固まり、互いに挨拶をかわし合う姿を私たちは見つめていた。


「い、一条様には慧様がいつもお世話になっております!」
「どうぞ寮でも私ども含め、よろしくお願いいたします。九重……奏矢さん、矢絃さん」

黒髪で童顔の春夏冬さんに、こげ茶髪の秋葉さん。

「こちらこそよろしくお願い致します」
「……お願いします」


あまり近すぎるのも話しづらいだろうと、私たちは執事たちから少し距離を置いた。


「いやー本当、美青の執事くんたちはこう……絵になるな。女子たちが飽きず登校や下校する姿をわざわざ見に行くのも分かる」
「そうねぇ……」

「二人ともヘマをしたなんて話は一度も聞いたことがないし、むしろいい噂ばっか流れてくるだろ?うちのはたまにやらかすからなぁ……わたしと一緒で」
「……まぁ、ね」


表向きは美形で、有能な執事をしている奏矢と矢絃。

だけど本当の二人の姿を知るものは、




この学園で、私しかいない──