──ん?


盤面を見つつ、ひそひそと話す周りを見ていれば、隣から慧が肘をつついてきた。

なに?と首を傾げると、慧と秋葉さんはにこりと笑い、春夏冬さんはひときわいい笑顔を見せる。


これはもしやっ──


二人へと目を凝らし前のめりになれば、奏矢は口角をあげ駒を軽快に手の中で動かし……






「チェックメイトだ──」



置かれた駒を見るなり、血相を変えてお坊ちゃんは立ち上がった。


「ばっ、ばかな!!」


奏矢と矢絃はグータッチしながら、ゆっくりと立ち上がる。


「はー終わった。てかヨユーじゃん」

「こんくれぇの実力しかねぇのに、お嬢の邪魔してくんじゃねぇよ」


その場にくずおれるお坊ちゃんを見て、かなやいは私の方へと拳を突き出す。
だから、私も同じように拳を出してこたえた。




そして……



"主の未来を守れると過信し絶望する執事くんを──"




「私の大事な執事たちの実力も知らないで、大層なこと言ってんじゃないわよ!!」




上のフロアからお坊ちゃんに言い放った言葉は、ホールへと響いた。
あの時と同じ。注目されてしまうも、今は爽快感でいっぱいだからいくらでも見てくれて構わないわ。