椅子に座り待っていれば、失礼致します、と順に執事四人も入ってくる。


「慧お嬢様、一条様とチェスをなさるのでしょうか?」

「いや、わたしたちはやらない。まあちゃんと話すから座ってくれ。美形くんたちもな」


私と慧が立ち上がり、四人に座るよう促せば遠慮気味に皆腰を下ろした。

慧は、チェス道具をテーブルへ広げながら本題に入る。


「美青が何があったのか、は交流会と校門前のことで把握できてるだろ?それで、だ──」


私の進みすぎているあのお坊ちゃんとの縁談をなかったことにすべく、条件としてチェス勝負を相手の側近をまじえてすることになったことを慧は告げる。


「……で、わたしの言いたいことは分かるか?」


秋葉さんと春夏冬さんに問えば、秋葉さんは静かに頷いた。


「九重さんたちにはいつもお世話になっているので……私たちでお力になれるのなら喜んで練習相手を引き受けさせていただきます」

「同じく!助けになれる機会なんて早々ないと思うので……やります!」


春夏冬さんは元気いっぱいに答えてくれた。


「と、いうわけだよ。美形くんたちも練習しないよりマシだろう。ってことで決まりだ!」