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「美青ー!」


学園に着くなり、校門前で慧から強く抱きしめられた。

しかも何故か半泣き状態で。

わたしがそばにいれば、申し訳ないと。


「気にしないで。離れたのは私だし」


夜には心配する慧からの連絡もあって、何があったのかは伝えておいた。
だから余計にこの抱擁なんだろう。
秋葉さんたちも心配そうにこちらを見ているし。


「……にしてもあんの男許さん!どこのやつだ」

「調べはついてるの。だから気にすることはないわ。それよりも教室、行かないと」


佐藤にあのお坊ちゃんのことを調べてもらい、どの程度のお坊ちゃんなのか把握済み。


私にはお説教があるんだろうし。さっさと聞いながしてゆっくりしたいものだわ。


「だな、行こう!」


慧に手を引かれ、歩き始めれば──




「……一条美青さん」


後ろからの声に振り向くと、例のお坊ちゃんがいた。


「お前ッ……!」
「昨日のお坊ちゃんだな!」


奏矢と慧が威嚇モードに入るのを止め、私はお坊ちゃんの方へ近づいた。


「交流会は終わったのになんのご用?またハンカチでも落としたのかしら」


冷めた目を向けても、今日はこらえるんだ?
今度は何を言いに来たのやら。

また奏矢たちのことなら一発かましてやってもいいくらい。どうせお説教を食らうならね。