「……慧っ」
「美青!待ってた」


学園の四天王と呼ばれるお嬢様は花鳥館と決まっている。
その他のお嬢様たちもこの花鳥館ともう一つの風月館へランダムに振り分けられているらしい。
……本当にランダムかは知らないけど。


「しかも部屋隣じゃないか、ラッキーだな」

「部屋もランダムに決まるシステムだったっけ」

「そう。ま、どのフロアにも警備員付きなのがなんとも言えないけどさ」
「言えてる」


入口も中もいたから。半ば、執事とお嬢様の行き来を取り締まる役割なんだろうけど。


「……立ち話もいいんだけど、一旦私も中に入って来るから。話はその後ね」
「おーけー。部屋で待ってるよ。執事くんたちも、またな」


ドアを閉めながら慧に手を振られ、奏矢と矢絃は頭を下げる。

部屋割りは確かにラッキーかもね。慧ならある程度気を遣わないままで居ても平気だから。

そんなことを思いながら、奏矢に鍵をあけてもらい、中へと入った。