アナウンスが入り、ぞろぞろと中央へ流れていくお嬢様とお坊ちゃん方。

執事たちは一度ここで脇にはけなくてはならない。


「……お嬢」
「……オジョー」

「平気よ。何かあればうまく対処するから」


すぐそばから小声で心配そうに声をかけてきたかなやい。早口で大丈夫と伝え、二人は秋葉さんたちとはけていく。
その途中、秋葉さんがちらりと私を見て頷いたから、私も頷き返した。


慧に何かあれば頼む、そういうことだと思うから。

ありがとうの意味で再度深く頷かれ、秋葉さんが背を向けた時、春夏冬さんがつまずいて秋葉さんの背中にぶつかったのを見て、私は近くの柱に背中を預けた。隣に未だ食べている慧を連れて。

奏矢たちから始まる前に、

『俺たちの見えるとこにいろ』。

そう言われていたから、秋葉さんたちも一緒に見える位置。ここなら問題ない。


再び中央へ視線を戻せば、お互いに同意のもとでペアを組んだであろう二人に、仕方なしに組んでいるペアもチラホラ。

後者はどちらかが強引に誘ったんだろう。


「はぁ……」


見てるだけで疲れる。


「ちょっとドリンク取ってくる。すぐそこだから」
「ん、分かった」