「うまい……これ食べ放題なのは最高だな」


知らぬ間に慧が私の皿へこれも食べな、とのせていくものだから、重くなってくる。


「慧、一旦のせるのはストップ」
「はーい。あ、スイーツも沢山あるぞ」


それに加え、なかなかに周りからの視線が痛い。

その視線の意味はよく理解できるけど。


"四天王の二人が誰からもマークされていない"と。

そう言いたげな視線。

それをうまくシャットアウトするように、奏矢と矢絃は私のそばに居てなるべく視界に入らないようにはしてくれてるみたい。

秋葉さんたちも。……でも慧は周りを見ていない、食へまっしぐらだから。
そのうえ、近付いてくるお坊ちゃんを威嚇までする。

おそらくわたしに近寄るな、っていうより"肉をとるな"の意味での威嚇。




***



なんとかお坊ちゃん方を寄せ付けず、流れた時間。

だけどこの後のダンスタイムもたまらなく嫌すぎる……。
テーブルからはメインの食事はさげられ、ちょっとしたデザートとドリンクものだけになった。

慧はギリギリまでよそっていたから、まだ食べている。周りではもう、ペアとなっている人たちが沢山いるというのに。


『間もなく、ダンスタイムとなります。中央へお集まりください──』