じーちゃんのメッセージの意味が分かった。


「また捨てるの?」


立ち上がって二人の前に出れば、


「オジョー……!」
「……っ何のことでしょうか」


奏矢は咄嗟に持っていたものを後ろへと隠す。


「答えて」


二人に近付けば、奏矢は預かったものを私に見せる。


「……こんなの、いらねぇだろ」
「オレもそう思う」


「んな執事独断で……」


「ちげぇ……俺は執事としてじゃなく、ただの、普通の男として嫌なんだよ。でも……いいんだろ。これで。お嬢はそんな気サラサラねぇんだ。そうだろ?」

「それは……まぁ。じーちゃ……祖父がやたら縁談を持ってくるだけで、強要されてないもの」


されたとて、反発して無視してやるだけだけど。


「なんでおじーさんは、そんなに話を持ってくるんだろ。早々にいいとこの坊っちゃんを探したいってことかな」
「それもあるかもしれねぇが……」

「大方、孫の顔がみたいーとか、安泰を求めているんでしょうね」


会社から退いて、うちのじーちゃんが考えることなんてそれくらいよ。


「……あーなるほど。うん。オレ死ぬほど無理。却下」
「お嬢……捨てる許可を」


ダメだと言っても無駄でしょう?私が知るまで何度捨てたのか知らないけど。


「……ええ」


じーちゃんには私から言えばいい。

だけどきっと……私が嫌だと言っても簡単に諦める人じゃない。