──『明日から寮生活になりますので、忘れ物がないよう、お願いします』と奏矢と矢絃から。

いつもの変わらない朝から、変わらない授業のせいで、すっかり頭から消えていた。
きっと、先生が教室へ入ってきた後、寮になる話をしたんだろうけど……流していたせいもある。

「……じゃあ、寮部屋に行ったら段ボールだらけ……ってこと?」

学校が終わって、気の休まる場所であるはずの部屋が段ボールに支配されてるとか、考えただけで疲れてしまいそう。

「事前に矢絃と共に片付けてあります」
「家具は備え付けで、あんま重労働ではなかったですけどね……」
「そうだったの……ありがと」
「そのことも伝えたんですがね……俺」


……ほんと、よその執事さんはどうか分からないけど、うちの執事は私の知らないところで動いてるんだよね。
指示を出している執事長の佐藤の根回しのはやさの賜物なのかな。