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旅行から帰ってきてからというもの、カレンダーを見るたびに憂鬱になる。
夏休みが明けることもそうだけど……あの、じーちゃんからのメッセージのことが気がかりで。
もしかしたら家に来て、また同じことを言うのでは?と思ったりもしていたから。
でも、お父さんたちは何も言ってこないし、佐藤にメッセージを見せて、何か知っているか聞いてもいいんだけど……。その佐藤が見当たらないし。一番忙しいのは知ってるから、仕方ない。
「……だからって、放置するのもずっとモヤモヤして嫌だし」
もういっそのことお父さんに聞いてしまえばいい。そしたらこのモヤモヤも晴れるはず……。
決心して、スマホを手に仕事部屋へと向かえば、中から話し声がした。
──この声は……
『また爺さんがもってきた縁談だよ。一応写真と釣書は揃っている。幾つかあるけど、僕は娘を焦らせる気はないんでね。あの子にめぼしい人がいない時はそれはそれで構わないから』
『承知し致しました』
お父さんとかなやいの声がして、足音が近付いてきたため、近くの観葉植物のそばに隠れた。
『失礼します』
部屋から出てきた奏矢と矢絃。
奏矢の手には、アルバムのようなものがあった。
「あーあ、またかって感じ。何個目だっけ?奏矢……それどうするの?」
「どうするもなにも、即燃やす一択だろ。まぁ、釣書は返すけどな」
「だよね。ちなみにどんな人?」
「写真、見たいのか?」
「見たくないけど、どんな人かは気にはなる」
「そいつは分かるけどな……でも、お嬢には俺らがいるだろ」
──なーるほど。
この二人、こういうことだったのね。



