何度か下げた音がすると、矢絃はより密着するように抱きついてくる。
「……ずる、俺も」
自分の布団をはいで、奏矢も私の布団の中へ。
いや、さすがに暑い。
三つも敷いてあった布団が、今や一つ半くらいしか使われてない。
「矢絃、寝てたんじゃないの?」
「食べ終わったら、目覚めた」
やっぱり食べてたのね……。
「てかさ、ずっと気になってたんだけど浴衣の下って何も着てないの?」
「は?……え、そうなのかよ」
「なわけな──」
もぞもぞと動く矢絃の手が胸元まで回り、スッと手が入る。
「ちょっ!?どこ触ってんの!?」
「矢絃お前何してん……」
騒ぎ出す私を見て奏矢がかけていた布団を剥ぎ取ると、肩に入り込む矢絃の手を見て奏矢が固まった。
だけどそれは一瞬で、そっこうで矢絃の手が奏矢に掴まれる。
「この手はなんだこの手は」
「いたた、痛いいたい。いたいっ。……はぁーバカ力すぎる」
あまりの痛さに起きる矢絃は、手首をおさえた。ちょっと涙目だ。
「ったく……何してんだか」
「だって、執事だけど男二人に女の子のオジョーひとりだよ?据え膳イベントでしょこんなもん。……食べるしかない」
手首の痛みが和らいだのか、矢絃は私に覆いかぶさろうとするも、今度は顔面を奏矢に掴まれた。



