「オジョー、どしたの。なんか、来てたっぽいけど」
「……ただの迷惑メッセージよ。消したから気にしないで大丈夫。それよりなにかしよ」
矢絃が持ってきた遊びぐっずと書かれた袋をつついて、切り替えるように布団の上に広げる。
それでも、私の執事は何かあったんじゃないかという視線を向けてきた。
だけど、今は考えたくはない。今は、奏矢と矢絃と楽しんでいたいから。
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「──あがりー!」
「オレもー。はい奏矢のゼロ勝……んーとなんとか連敗。もう数覚えてないや。それくらい負け」
「……あー!なんでだよっ、今のめっちゃ心理戦したのによ」
惨敗の奏矢は大の字で布団寝転がった。
「ただ単に弱いだけだよ、奏矢は。もしくはオレとオジョーが強すぎるか」
「うるせー」
大の字ままバタバタと反抗する奏矢に、私と矢絃は顔を見合わせて笑う。だけどすぐに矢絃が欠伸をした。
「……ねむ。そろそろもっかい入ってきて寝ようよ」
「ま、いい時間だしな。あったまって寝るとするか」
「だね。そうしよ」
今にも寝そうな矢絃を連れて、私たちは再び温泉へと向かった。



