部屋に戻るなり、敷いてあった布団が三つ。
前を歩いていた矢絃が自然と奥に行って寝転ぶと、並んでいた奏矢に押され私が真ん中へ。
荷物を枕元へと持ってきてスマホを確認すれば、"とあるメッセージ"がきていた。
「お嬢、どした?」
「……ううん、なんでもない。気にしないで」
何もないようにスマホを鞄へとしまい、変に思われないよう明日の準備をすることに。
服を取り出しながら、私はとあるメッセージの内容を思い出していた。
【複数、縁談の話をしたのに返事がないとは、何か気にくわないことでもあるのか?】──と、じーちゃ……お祖父様から。
しかし、私は夏休み帰ってきてから一度もそんな話聞いてはいない。
帰って来てからだって佐藤からそんな話、されてないし……。
……もう将来への根回しが始まっている。ついこの前、慧の見合い写真を見た時に他人事ではないと思っていたけれど……
私にも同じ事が起ころうとしている、ってことみたい。
ごめんだと、そう思っていたことが。



