重いけどいいの?お嬢サマ



「あ……別に!話せってわけじゃないんだけど。気にはなってしまってな」

「当たり前よ。二人は五年くらい前に家に来てくれたのだから。その子が来た時に居ないのは当然。それに、二人は佐藤が直々に指導した有能な──」

「……自分と矢絃は、お嬢様に助けられたんですよ」

『助けられた?』


驚いた慧と秋葉さん、春夏冬さんの声が重なる。
奏矢と矢絃がどこをどう話すのか、私は委ねるしかない。


「色々家庭環境が複雑だったので、二人でフラフラしてる時に声をかけていただいて……そこから、執事見習いとして働くようになりました」
「……今はこんな感じですけど、その頃は二人して荒れてました」


荒れてました、か。


「えー……美形くんたちが優秀すぎてその過去がぜんっぜん想像つかないな。でも、色々な境遇の中で今の姿はカッコいい!さすが美青の執事くん!もっとお菓子食べな」


袋に入るお菓子を鷲掴みして、奏矢と矢絃へ渡す慧に内心ホッとする。慧は深くあれはこれはと聞いてこないタイプだとは分かってはいても、過去とか家庭環境とか、話しづらさのある類いの話はどうも……。

だけど、慧の言う通り。

過去を感じさせない二人の執事としての振る舞いは、素晴らしいものだと思う。


「……過去はどうあれ、胸元のバッチが彼らの努力の賜物なのよ」

「ん?……ああ!ゴールドだもんな」