「って、わたしばかり話してても……そうだ、ずっと黙ったままの美形くんたちの話をしようじゃないか」
「……奏矢と矢絃の?」
「そう!美形、優秀、なんかすごい!ってくらいしか実際知らないし……うちの執事のことも大公開するぞ!」
──急にかなやいの話題になるとは……予想外。大丈夫、かな。
「美形くんたちは、何か聞いても平気かい?」
「構いませんよ。答えられる内容であれば、ですけど」
奏矢はにこやかに頷いてくれてるけど、心の内では……嫌だったりしない?
"大丈夫"
心配しているのがバレたのか、マスクをしている矢絃がボソッと伝えてくれた。
「んーそうだなぁ、美形くんたちは執事になるまえは何してた、とかは?」
慧の問いに、奏矢と矢絃が一瞬だけ揺らいだのを肌で感じた。
でも決して慧は、変な詮索のための質問ではないことは確か。
「実は前にさ……と言っても小学生の頃か。一条家に行ったことのあるどっかのお嬢様が、"あの時はいなかったのに"って学園で話してるの聞いたことがあって」
なるほど……
父の仕事関係で繋がっている家もあるから、幼少期に娘を連れて家に来たことがある、ってわけか。
なんだか、そのお嬢様と遊んでなさいと言われた記憶はあるけど、それっきりで学園で今顔を合わせても、言葉をかわすことはない。
きっと、あっちも遊んだって記憶はないだろうし。
でも……かなやいが当時居なかったことを覚えてるってのもなんだかなぁ。



