重いけどいいの?お嬢サマ


はいはい、と二人に近付き、どっちから?と視線で問う。


「俺」
「オレ」
「は?」
「なんで?」


なのに解決までに時間を要する。
これでは全くバッグの中身を片すことも出来やしない。


「そんなんじゃ、抱擁なしにするよ?せっかく帰ってきたんだからゆっくりした──!?」


広げかけた手を下ろそうとすれば、両腕が思いきり引き寄せられ、奏矢と矢絃の胸にほぼ体当たりしにいったみたいにおさまった。


鼻っ痛い。


「なしとかなし。というかオジョー鼻どうしたの?」
「ははっ、今ので赤くなったんだろ?わりぃわりぃ」


三人で抱き合うような形になりながら、矢絃はこちらを見下ろして不思議がり、奏矢は鼻をつついてきて笑う。
全然わりぃと思ってないでしょ……。


「トナカイオジョー、かわいー」


だれがトナカイよ。そんなに赤くない。……はずよ。


「つーかお嬢、ちゃんと俺らの顔見ろよ。そらすな。顔あげろ」
「確かに。熱い抱擁してから全然オレたちのこと見てくれてない。なんで?」

「……か」

『か?』


顔がいいから、と言ってしまえば二人はニヤニヤするに違いないから言いたくないっ。


「か、顔が近すぎるから……というかもういいでしょ!佐藤とはこんな長くくっついてなかったんだから」