午後──執事たちと合流し、始まった社交ダンスの時間。
ステップの確認から、一通り曲を通すまでが通常なのだけど……
私の視線の端に映る──足先をおさえうずくまる二人の執事。決して、私の執事ではない。
あの二人は……慧の執事。
ダンスの時間の中で幾度となく踏まれ、ヒールを刺され続ける足にも休憩が必要で。
そんな二人に平謝りなのが主である慧。
ほとんどの授業に関して、成績は褒められたものじゃない。
ダンスではドレスを嫌い、ヒールを嫌う。
リズム感のなさにダンスを覚える気がない。
チェスはルールを覚えず、
バイオリンはもう持たせたらアウト。
と、ある意味なかなかの成績だ。
「──日比野さん!ドレス姿でなんて格好しているのですか!」
まーただ……
執事の足を心配しながらも、がに股で椅子に座るから……すぐ先生につかまる。
「す、すみません!マジで!」
「……マジ?」
「あー!ごめんなさい!」



