とっさのガードでうまいこと抱えたままのボールに当たり、投げられたボールは宙に。
ボールの行方を追っていれば、
"ナイス──"
宙に舞うボールが突然来た影にキャッチされる。
「……俺のお嬢狙ってんじゃねぇよ」
影の姿……奏矢の静かな一言とともに、レーザビームのようなボールが執事くんに打ち込まれた。
その僅かな数秒間を目にしながら、私は矢絃と同じように力負けした体が倒れていくことに抗えぬまま尻餅を覚悟する。
「……っと。あぶね」
「オジョーセーフ」
だけど、かなやいに受け止められ痛みを回避出来た。
「い、いつの間に来たの」
奏矢は投げてすぐ、矢絃も座ったままだったのに。移動速度速すぎない?
「オレと奏矢のお嬢センサー、なめないでもらいたいね」
「ったりめぇだろ。……怪我してねぇよな?」
「ありがと。無傷だよ」
良かった、と息を吐く二人。
「つか、おい矢絃、お嬢を頼むって言──」
「奏矢。ひとつ訂正して、オレ解せない」
「は、はぁ?何のことだよ」
矢絃は奏矢に詰め寄りだす。
「"俺のお嬢"……って言ってたけど、オ・レ・た・ちの!訂正して」
「えー……どうすっかなぁ」
「奏矢!」
「うおっ!?へへっ、いいじゃんかお前もその調子で他のやつに投げ込めよ」
ボールの投げ合い……兄弟喧嘩みたいなこと始まった。
「万年一桁残し!」
「なっ!!二桁残しするお前に言われたくねぇっての!」
──結局、奏矢と矢絃が騒ぎながら倒していったから、気づいたら同じ色のタスキしか残っていなく、今年も無事生き残りを果たしたのだった。



