「てか今年豪腕執事多くない?って思うのオレだけ?さっきも奏矢に負けないくらいの人いたし。コントロールが出来てなかったけどさ」
確かに……見ていると飛ぶボールの速さがなかなか。レベルが上がってるというか。
「去年よりはやりがいあるよな。……なんて、話してるうちに目つけられたみたいだぜ?」
少しガタイのいい二人の執事くんが前から来た。
ん?何だあれ。タスキはどこでも身につければ場所は自由だけど、頭に巻いてあるタスキに文字が見えて、目を細めてみる。
「打倒、九重奏矢……」
──なるほど。さっきもだけど奏矢を倒すことで私たちの戦力ダウンを狙ってるんだ。
「任せろ。去年もアイツとやりあったからな。矢絃はお嬢頼む。お嬢はしゃがめ」
奏矢は相手を警戒してか、私たちよりずっと前に行き、勝負をし始める。
「……って、なんかヤバくない?後ろからもきたじゃん。オレどうすればいいの?とりあえずオジョーは下がってて」
しゃがんでいてもこの場合、邪魔になるのでは?と立ち上がりかけた時──
「ちょ……!?っボール、重っ」
ボールで弾きにいった矢絃だけど、投げられたボールの力に押し負け、自分のボールが手からこぼれてしまった。おまけに座り込んでしまい、まずい状況に。
せめて腕の中のボールを渡そうと、私は立ち上がった。
「矢絃!」
「……もらった!!」
──っ!?
私が視線を落としたところで、すでに回り込んできたのか私を狙ったボールが、まっすぐ飛んできた。



