「物騒な言葉はやめときなさいよ、誰も聞いてなくてもね」
「わーってる。でもそんくらいの意気込みってやつだよ。矢絃の言う通り、お嬢に一ミリもかすらせねぇからな」


一旦不機嫌モードはしまって、これまた切り替えてるみたい。去年は矢絃が先に離脱したけど、奏矢がタイムアップまで私に当てさせないよう頑張ってくれた。
だから今年は、クラスからの期待が大きい。
特に私は何もせずとも、奏矢と矢絃がどうにかしてるから、どうしたものかと思うところ。


「ヘブっ!!」
「春夏冬ナイス顔面!秋葉!キャッチしろ!」
「はい」


慧は慧で元気を取り戻した様子。
グラウンドの真ん中らへんで、春夏冬さんが顔面に食らったボールを秋葉さんが受け止めセーフにした。……秋葉さんナイス。
とは言え、まるでお嬢様なしの護衛役三人一組みたいな絵図だけど。


「あっちのお嬢さんはガッツリ参加してるな」
「……私も今年はガッツリ行ったほうがいい?」
「だめに決まってんだろ」
「奏矢に同意」


でしょうね。ダメもとでとりあえず言ってみただけよ。


「にしても暇……ってわけじゃなくなりそうだな」
「あーあ、奏矢強いからでしょあれ」


あれ、と矢絃が指さす方を見れば、明らかに私たちを狙いに来た他のクラスの面々。

協力し囲んで倒すのが目的らしい。


「……やっと来やがった。行くぞ矢絃」
「がってんー」