「お、お疲れ様。ここにいるってことは、なんとか出来たのね」
「お……おう美青に美形くんたち」


小さく手をあげる慧は、なんとも覇気がない。


「春夏冬も慧お嬢様もギリギリ……本当に!ギリギリでしたが、勉強会の成果が出せたようで赤点は免れました」
「うるさいぞ……秋葉」
「この通り、慧お嬢様はげっそりしておりますのであまり戦力にはならないかと」


きっぱり笑顔で言い張る秋葉さんに、私は苦笑いを返す。


「か、かわりにこの春夏冬!慧お嬢様とクラスのために頑張らせていただきますので!おわっ!?」


自信満々に慧の横に並んだ春夏冬さんは、石に足を取られバランスを崩した。


「……こちらも頼りないですが、精一杯護衛を務めさせていただきますので、一条様も執事方もお互い怪我のないよう、楽しみましょう。……ほら、慧お嬢様シャキッとしてください」


やつれた慧をグラウンドの中心へ行くよう、秋葉さんと春夏冬さんが背中を押す。
私たちもそろそろ行かないと。


「ねぇ、奏……ちょっと、そのめちゃくちゃ不機嫌な顔、人目がなくなるたびにするのどうなの……」

ぞろぞろと中心に集まる生徒がいる中、かなやいはすごくしかめっ面になっていた。


「……くそっ、あと三点だったんぞ。あんの英語の教師!ピリオドが見えません、とか言いやがって!血眼になって見直したのによっ」
「オレも一桁……九点だった。また凡ミス、最悪」