「その顔……思い出したって感じ。さすがオジョー」

「なんとかね。……それで、とびきりのご褒美とやらの正体はなに?もう教えてくれたっていいでしょ?もし渡すことになっても、焦ることもなくなるし」
「無理」
「やだー」


またこれか。
そう簡単には教えてくれないのはなんとなくわかってるけども。


「先にお嬢に言っとくと、無理!だめ!って言われるのがオチだからな」
「なにそれ……ならせめてヒントだけでも」

「ヒント……」


お、矢絃は考えてくれそう。


「んーやっぱやだ。先に言うと、それ以外でって言われそう」
「だろ?だから叶えた矢先にもらいに行くのが一番いい」


結局分からずじまい。矢絃に期待したのに。やはり兄弟だ。


「成績はすごいよくなったのは分かるけど、今まで毎年毎回のテストで五教科満点目指してたの?」


私は一番とかじゃなく、悪くなければそれでいいと思ってやってるけど。


「当たり前じゃん、オレあと十二点だった。見直しに穴があるんだろうね。今回は一桁いく」
「俺は、この前の中間八点足りなかった。五教科満点……それまで一桁だ。卒業までにはぜってぇもらうから覚悟しとけ」
「ご褒美がモチベだからんねオレらの」


一体、私から何をもらいたいのか分からないけど、意欲があることは良いこと。
私も二人に負けじとこれから追い込みしないと。