「……全然気持ちがこもってない言い方にかわるなら、普段の口調でうまい、うめぇって言った方が美味しさが伝わる気がするけど?」

「まぁそうなんだろうけど、一応周りの目があるからなぁ……」


周りも何も、大半の生徒や先生たちは日比野慧の男勝りさを知っている。
だからこそ、他のお嬢様が憧れ、先生たちからお叱りを受けるわけだ。

今更気にしたところで、って思うけどお嬢様として言葉遣いをどうにかしようとしている慧の気持ちを否定するわけにいかない。


「……ま、少しずつ慣れるしかないね。癖ってものはすぐに直せるものじゃないもの」
「だよな……ね」


と言っても、一年前も同じことを何度も聞いていたけど、何ら変わりはない。
だから毎日のように先生の前に立つと敬語を使おうとしながらもいつもの口調とまざりあい、語彙力がおかしくなるから、結果怒られる。

それを繰り返してるわけだけど、私は素の慧の話し方が好き。
否定の言葉も肯定言葉も、裏表がないように聞こえるから。

だから私は慧と友達をやっていられるって思う。


「この肉おかわりしてきていいかな!」



それに……"もとの私と似てるから"──